11月28日発売の「ヨガジャーナル日本版Vol.20」にて、n-Séのソープを紹介していただいています。
(リンクはヨガジャーナル最新版紹介のページです)
ヨガジャーナル日本版は、ヨガの初心者から上級者、インストラクターの方までレベルに合った実践法の紹介をはじめ、健康、ファッション&ビューティー、食生活、旅情報などヨガを通して快適で美しい生き方を提案するジャーナル。
眺めて美しい、読んで楽しい、実践してキレイになる。
きれいな誌面にはヨガを中心としたそんな記事が満載です。
12月1日は「世界エイズデー」。そこで「エイズ対策事業に貢献できる石鹸」としてご紹介いただきました。
n-Séは、初期に環境関連で賞をいただいたこともあり、今まで環境面への貢献にフォーカスした取材が多かったのですが、今回はHIV/AIDS。実はこちらにフォーカスしていただいた記事は初めてで、HIV/AIDS予防研究に関わっているア・ダンセ代表森重は、とてもうれしく思っています。
ご紹介いただいたのを記念して、少し詳しくブルキナファソでのHIV/AIDS対策とのつながりについて、ご説明させていただきたいと思います。
n-Séのソープは、ブルキナファソのコートジボワールとの国境に位置するバンフォラ市の「ラキエタ・エイズ対策センター(Centre RAKIETA de Lutte Contre le SIDA」にて製造されています。
ラキエタ・エイズ対策センターは、ブルキナファソでもTOP3に入るバス会社が、自社社員のHIV感染を機に、社会貢献事業として設立した市民団体(Association)。ブルキナファソのAIDS関係者内でも評価の高い団体のひとつです。
センターがバンフォラ市を中心として行う活動は、以下のように多岐に渡っています。
1.結核を含む日和見感染症治療
2.予防啓発活動(AIDS、結核、マラリア)
3.VCT(HIVの自発的匿名検査)
4.HIV/AIDSとともに生きる人々の支援(自宅や病院への訪問、服薬支援、終末期の看取りなど)
5.AIDSで家族を亡くした人々への支援(子どもや寡婦など)
6.その他、必要に応じてカウンセリングや少額貸付など
ここに、ア・ダンセとの協働で、HIV/AIDSに感染または影響を受けた女性のための職業訓練事業が加わりました。
(HIV/AIDSに影響を受けた女性とは、家族をAIDSで亡くした女性や、貧困などHIV感染リスク行動に繋がる可能性のある問題を抱える女性のことを指します。)
ブルキナファソでは残念ながらHIV/AIDSに関連する差別や、女児・女性への教育・医療等へのアクセスの悪さなどが存在しており、それらが相まって、貧困やHIV/AIDSの女性化(Feminization)が起こり、特にHIV/AIDSに感染・影響を受けた女性たちに貧困化が多くみられます。彼女たちの収入を作り出すことは、現地バンフォラ市では危急の課題とされていました。
(ちなみに、ブルキナファソではAIDS発症後の治療は通常有料です。また、国際的な支援の結果として実現した比較的安く入手できる薬は種類が限られている上、95%以上正しく服用しないと効かなくなります。時計があるようでないような時間が流れるところで、あまり症状がない状態で薬を正しく服用することは、簡単なことではないと思います。また、一度服薬を始めると、通常ずっと飲み続ける必要があります。そこで、コミュニティーでの服薬支援はとても重要な活動となっています。今、途上国ではかなりAIDSの治療薬へのアクセスは改善されており、発症が減少したという報道がありましたが、途上国で安く入手可能な限られた薬剤が効かなくなった人への支援をどうするかは、国際的な問題でもあります。)
そこで、日本大使館(施設建設・製造設備)やバンフォラ市(土地提供)のご支援を得て、ラキエタ・エイズ対策センターに「HIV/AIDSに感染・影響を受けた女性のための訓練センター」が建設されました。
ここの講師も、HIV/AIDSに感染または影響を受けた女性たち。n-Séのソープは彼女たちによって製造されています。
ア・ダンセは、助成金や土地利用の申請を支援したほか、建物の設計や備品の供給、丸菱石鹸さんによる技術指導や5Sの導入など、日常的に多岐に渡る協力を行っています。
研修で学ぶソープ作りは、シアバターとココナツオイルやパーム核オイルを使用したコールドプロセス製法による洗濯用石鹸。洗濯用の合成洗剤も広く出回っていますが、洗剤自体がきついからか、合成洗剤の後に石鹸で洗う家庭も少なくありません。また、1種類の洗濯用洗剤または石鹸で、洗濯の他にも掃除や食器洗い、手洗いなどを行っています。
研修の石鹸は、比較的よい油脂を選べば、もちろん身体用にも使えます。研修で教える石鹸の質が高いことから、現地での需要は高く、研修を受けた女性が自分で家で作って市場などで売ることも可能です。終了時に簡単な石鹸製造キットをプレゼントできるよう、ラキエタとともに考えをめぐらせているところです。
現在、原材料の確保をラキエタの本体のバス会社が試行錯誤しており、大量に買い付けたココナツオイルやパーム核オイルを、研修終了女性限定で原価で小分け販売する予定です。また、研修を終了した女性が増えてくれば、組織化して近隣諸国への輸出も考えているようです。
研修を受ける女性たちのほとんどが学校に通ったことがないために読み書きができません。複雑な計算も苦手です。石鹸作りの理論部分も、理解が難しいところもあります。そういう女性たちでも、きっちりと安定した品質の石鹸をつくることができるようになるために、研修は試行錯誤を繰り返しながら、どんどん進化しています。
このセンターを運営する資金を得るために、講師陣が販売用石鹸も作っており、洗濯用石鹸と化粧石鹸を製造しています。
n-Séソープは、この化粧石鹸にあたります。
ただし、日本向けの製品は製造工程においてかなり細かい部分にまで気が配られます。モノの入手が難しいブルキナファソでは、多くの道具や器具を日本から運びます。
もちろん、原料はア・ダンセが直接買い付けたものだけを使用しています。
今は外注している輸出前の品質検査をセンター内でできるようにするため、丸菱石鹸さんでア・ダンセ現地スタッフが研修させていただきました。道具もほぼ揃ったことから、近々、実現する予定です。
これらの石鹸販売の利益は、主に研修センターの運営費(講師陣の給与を含む)になっていますが、将来的にもっと利益が大きくなれば、研修事業の拡大も考えている様子。もしくは、もっとラキエタ・エイズ対策センターのほかの活動に生かされていくかもしれません。
こうして、ア・ダンセのn-Sé商品、特にソープのお買い上げは、ブルキナファソの一地方都市で、HIV/AIDSに感染または影響を受けた女性たちの新しい人生の一歩につながるお買い物となっています。
今後ともア・ダンセのn-Séシアバター製品をどうぞ宜しくお願いいたします。
大切な大切な追伸:12月はエイズ予防月間です(行政的には、地域によってばらつきがあります)。皆さん、ぜひHIV/AIDSの検査、受けてくださいね。そして、できればクラミジアなどの性感染症の検査も受けてください。
ちなみにブルキナファソでは、1ヶ月間、検査キャンペーンが全国的に大規模に実施され、およそ10万人がエイズ検査を受けます。
日本でHIV検査を受けられる場所など検査についての情報は・・・HIV検査相談マップ
HIV/AIDSの知識や啓発資材、日本や世界の動向は・・・エイズ予防情報ネット
日本での世界エイズデーの情報は・・・世界エイズデー特別サイト
世の中はクリスマスですが、予防月間の12月、日本のHIV/AIDSについて、世界のHIV/AIDSについて、少しでも心を寄せてくださいね。東京都の今年のテーマは「ヒトコトで言えばヒトゴトでない」だそうです。