ブルキナファソについて

ブルキナファソの宝物

ひとびと

内陸国で目立った資源のないブルキナファソ。唯一の資源は「ひと」だと言われています。ブルキナファソの人々は周辺国でも有名な「働き者」で、残業や休日出勤を厭わない人も少なくありません。西アフリカの日本人と呼ばれているとか・・・比較的穏やかな人が多いので、国の雰囲気もなんだかのんびりモードです。見ず知らずの人から親切にされることも少なくありません。

マンゴー

ブルキナファソ西部に入ると、マンゴーの木が目立つようになります。こんもりした木がもこもこと見え始めると、西部に来た感じがします。n-Seの石鹸を作るバンフォラ市もマンゴーの産地のひとつで、街中にマンゴーの木の街路樹があり、そばに棒が置いてあります。誰でも採っていいので、子どもたちが競って食べています。周辺の村の集会もマンゴーの木の下で行われます。ブルキナのマンゴーはとってもおいしいんですよ!11種類の木があるそうで、みんなそれぞれ好みが分かれます。最盛期に産地で買うと大体ひとつ5円くらい。現地の人の中には「飽きた」といって、あまり好きではない人もいます。加工品としてはジャムやジュースなんかも売られていますが、お勧めは日本にも入ってきているドライマンゴー。農薬も化学肥料もなあんにも使っていないマンゴーの実をただ単に切って干したもの。天日干しすると黒くなってしまうそうで、最近ではプロパンガス(おこした火の熱を利用)やシンプルなソーラーシステムなんかを使って乾燥させています。砂糖漬けの甘いドライフルーツが苦手な方には、太陽の光をいっぱい浴びた自然な甘さのブルキナ乾燥マンゴーは本当におすすめです。産地ではB級品が安く売られていて、お買い得です。

シアバター

フランス語ではブール・ド・カリテ、つまりカリテバターと言います。シアバターは西アフリカからアフリカ中央部にかけての「シアベルト」と呼ばれる国々で採れます。場所によって少しずつ木が異なり、バター自体のテクスチャーも異なっています。ココアバターの代用としてチョコレートに使われたりしてきましたが、ロクシタンやボディショップなど、欧米の化粧品メーカーのコスメとして効能への注目を皮切りに、高級美容オイルとして認知されるようになりました。

ブルキナでは主に食用として使用される他、女性の美容クリームや赤ちゃんのマッサージ、筋肉痛のマッサージ、脳髄膜炎予防、傷薬など、様々な用途に用いられています。シアバターはシアバターノキという木の実の種の中の仁(大き目のアーモンド状)の部分から取り出します。実自体は小さな鶏の玉子くらいの大きさで、アボガドを甘くした独特の食感です。慣れればおいしくて、いくつでも食べちゃうのですが、苦手な日本人も少なくありません。シアバターの木の寿命は200-300年と言われ、実がなるまでに15-20年、生産が最大になるのは25-40年だと言われています。このようにゆっくり成長するため、その木は非常に硬く、野火などの際にも焼け残るそうです。植林も試みられていますが難しいようで、挿し木なども行われているそうです。

コットン

コットンはブルキナファソ一番の輸出品です。ア・ダンセが活動する西部ではコットン畑が広がります。最近ではオーガニック・コットンにも力を入れています。ブルキナではすべて手摘みのため、収穫の季節は家族総出で畑に出ます。あちらこちらに真っ白な山ができ、それを纏め上げたものをトラックが集めて回ります。伝統的な手紡ぎの糸を使った布は素朴で温かみかあり、とても素敵です。

カシューナッツ

実はブルキナファソ西部ではカシューナッツが結構採れます。これがとってもおいしく、特にシアバターで軽く揚げて軽く塩をふったものは、香ばしくて手が止まりません。高価なので、現地の人もそんなに頻繁に食べるわけではないようですが、みんな大好きです。カシューナッツバターのソースもとってもおいしいです。

ブルキナファソの課題

貧しいだとか、砂漠化だとか、あまりポジティブな報道の少ないブルキナファソ。人々は優しくて、元気で、あったかい。
関わる多くの日本人が大好きになる国。何もないけど、いっぱいいっぱい素敵なところがある国。
でも、たくさんの問題を抱えているのも事実で、ア・ダンセはそれを少しでも減らしたいと思い事業を始めました。
ですので、そんな問題についてもきちんとお伝えしたいと思います。

貧困

一見、町では車やバイクが行き交い、市場はにぎわい、村はのんびりとした様子。そんなブルキナファソですが、人々と同じ目線で長く生活を送ってみると、いろいろ見えてくることがあります。
人口2000人の村で行われたシアバター品質向上研修。たった5日間の研修期間とその後の1ヶ月の間に亡くなった赤ちゃんは2人でした。2人とも、驚くほど軽くて小さな、そして静かな赤ちゃんでした。
病気で入院していた同僚が退院の挨拶で話してくれたこと。それは、1本いくらの注射を何本打ち、いくらの点滴を何パックし、いくらの錠剤を何錠飲み、総額いくらかかったか、でも神様とみんなのおかげでその治療ができて、退院することができた・・・といった説明でした。果たして、日本で何人の人が、入院中に自分が処方された薬剤の名前と金額、量をすべて覚えているでしょう?公的な保険のないブルキナで、彼はきっと、大変な思いをしてひとつひとつの薬を買ったに違いありません。
国連機関のひとつUNDPが出している人間開発指数で、ブルキナファソは全182か国中177位(2007年UNDP)と大変低い順位となっています。これは、各国の人々の生活状況を長寿、知識、生活水準の3つの分野について測ったもので、ブルキナファソは世界で最も貧しい国のひとつとされています。今、世界では「貧困」というのは単にお金がないということではなく、個人が幸せを追い求める手段を奪われている状態であると考えられています。つまり、ブルキナファソではいろんな意味で幸せを追い求めることをあきらめなければならない個人が多い、ということになります。
内陸国であることや気候の厳しさなど、様々な要因が複雑に絡み合っていて、解決が難しい問題です。しかし、環境問題や保健医療、教育など、生活に重要な問題は必ずといっていいほど貧困問題がからんでおり、その削減にむけて多くの取り組みが行われています。ア・ダンセでは、シアの実を輸入するのではなく、石けんを日本で作るのではなく、ブルキナファソの女性たちやコミュニティーがなるべく利益を受けることができるよう、仕上げの工程以外は、できるだけの工程をブルキナファソで行っています。シアバターと石けんを定期的かつ適切な価格で買い続けることにより、女性たちが経済的に安定した生活を送ることに貢献していきます。

HIV/AIDSやその他感染症

ブルキナファソで多い感染症として、マラリア、脳髄膜炎、呼吸器や腸への感染などがあります。これらは、特に幼い子どもへの影響が大きく、毎年たくさん亡くなっています。蚊帳の配布や安全な飲み水・トイレの整備、予防接種など、様々な予防対策が試みられていますが、なかなか難しいのが現状です。ア・ダンセでも衛生環境の改善・啓発などに貢献してゆくことを考えています。
青年期以降で重要な感染症としては、やはりHIV/AIDSでしょう。
アフリカといえばどこでもHIV感染率が高いというイメージですが、西アフリカはアフリカ東部や南部などに比べると、比較的低い感染率です。それでもブルキナファソは高いほうで、国全体で1.6%(2007年UNAIDS)とされています。主要都市部に限ると4%前後であるため、対策を怠ると爆発的に拡がる恐れがあります。
アダンセが活動する西部の町、 バンフォラ市は、HIV感染率が高いコートジボアールとの国境に近く、国内で最も感染率が高い地域のひとつになります。多くの対策がとられていて、予防啓発はもちろん、無料匿名検査や感染がわかった人へのサポート、患者さんのおうちや入院先への訪問、日和見感染症治療、お薬をきちんと飲むサポート、孤児となった子どもへの支援など、いろんな角度からのプログラムが行われています。アダンセではこのような総合的なエイズ対策を実施している現地市民団体と提携し、同団体が運営する石けん製造女性研修センタースタッフ(スタッフ自身もHIVに感染している女性やエイズに影響を受けた女性)が作る石けんを日本で販売することにより、ブルキナファソのエイズ対策に貢献することを目指します。石けんの利益は生産にあたる女性たちの収入になる他、研修センター運営費や、その他のエイズ対策費に使用されます。

砂漠化

最近、雨季が安定しないブルキナファソ。90%以上の人々が農業に従事しているので、多すぎたり少なすぎたりすると、その影響はとても大きくて大変です。2009年、隣国コートジボワールは少雨でコーヒー価格が値上がりするなどの影響があったのに対し、ブルキナファソの首都周辺では9月に半日で年間降雨量の4分の1に相当する約300mmの雨が降り、15万人が避難を余儀なくされるという事態になりました。
一方、サハラ砂漠の南に位置しているブルキナファソでは、気候変動や人口増加などのせいで、国内北部や中部で砂漠化が進んでいます。そのような地方から移動する「気候難民」と呼ばれる人々が緑や水が豊かな南部や西部に流入しています。それに加えて、2002年に隣国コートジボワールで起こった政治危機によって、たくさんのブルキナファソ人が故国に帰り、南部や西部に定住しはじめました。こういった人の流入や気候変動の影響などによって、南部・西部の豊かだった森林がどんどん消えていっています。そこで、現在、ブルキナファソ政府とJICA(国際協力機構)が協力して、森林管理プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトでは、4つの指定林周辺24村の住民森林管理グループと環境省の森林官が協力して森林を管理しゆけるよう支援しています。特に「非木材林産物」と呼ばれる木を切らずに収穫できるもの(実や葉っぱ、樹脂など)による収入向上に力を入れています。そのうちのひとつがシアバターでした。ア・ダンセが住民森林管理グループの女性から定期的に適切な価格で買い付けるシアバターの収益は、森林管理グループの収入となり、女性たちの収入向上や森林管理などに役立てられます。 今後も様々な「森のたからもの」をグループと開発し、日本にご紹介していきます。

低い識字率・就学率

識字率というのは、文字を読んだり書いたりして理解できる人たちの割合ですが、ブルキナファソは世界でも最下位に近い国(下から4番目)で28.7%(男性36.7%、女性21.6%、2007年UNDP)です。つまり、文字を読んだり書いたりできるのは、3人に1人もいない計算になりますが、農村部だけに限れば20人に1人以下という村も少なくありません。小学校に入学する子どもの割合は上昇中ですが32.8%(2007年UNDP)しかない上、たくさんの子どもが途中で退学します。シアバター生産に関わることについて言えば、たとえばグループ内で誰も字を書いたり計算ができなかったりすると、記録を残すことができない、輸出や分析などの手続きに問題が起こる、ということになります。これは、しっかりとものを作り、販売していく上で、大きな障壁となります。他にも、説明文を読み、知識や情報を手に入れることができないという意味でも、読み書きは大変重要だといえます。
また、学校教育を全く受けないということで、抽象的なことを考えるときやロジックを組み立てるときなどに、教育を受けた人々と違うものとなったりすることがあります。たとえば、お母さんの教育レベルが高いと子どもが健康である傾向があることがわかっています。これは、知識や情報へのアクセスはもちろん、家族の健康を守るための方法をよりよく考えることができるからかもしれません。また、学校では科学的知識を教えることが多いのですが、それはつまり、世界で共通の「記号」や推測する方法、因果関係の考え方などを学ぶことでもあります。伝統的な考え方やものの見方もとても大切ですが、世界の人々と生きていくためには、やはり「教育」で得られるものを身に着けることも大切なわけです。ア・ダンセでは、女性たちの経済状態を改善することで、子どもたちが教育を受けやすくなるよう働きかけていきます。また、女性たち自身が字の読み書きや計算を学ぶのを応援していきたいと考えています。

高い乳幼児死亡率と妊産婦死亡率

ブルキナファソは世界で7番目に5歳未満の乳幼児がたくさん亡くなっている国です。1000人生まれた赤ちゃんのうち191人(2008年UNICEF)が5歳のお誕生日前に亡くなります。約5人にひとりです。また、亡くなる妊産婦さんも多く、10万人あたり700人(ちなみに日本は6人、2008年UNICEF)です。5歳未満の子どもの場合の死亡理由は、出産前後では母親の出産状態が悪かったり、適切な介助が得られなかったりすること、そして、赤ちゃんの栄養状態が悪く基礎体力がないために、マラリアや下痢などであっけなく亡くなってしまう、ということによります。妊産婦さんが亡くなるのは、妊娠と出産に伴う合併症(多量出血、感染症、危険な中絶、難産など)やマラリアやエイズなどの悪化が主な原因となりますが、栄養不良やビタミン等の欠乏も妊産婦さんの出産状態を悪くすることに繋がっています。
ブルキナでは1人の女性当たり約6人子どもを出産しており、より妊産婦死亡のリスクが高い結果を導いています。ア・ダンセは、生産にあたる女性たちに清潔・衛生を大切にして生産環境を整えることの重要性を伝え、定期的に適切な価格でシアバターや石けんを買い上げることで、女性の経済状態を向上し、女性とその家族の栄養状態や衛生状態がよくなり、医療へのアクセスを向上することに貢献していきます。

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